2017年現在、AIビジネスが活況を呈している。
新たなビジネスモデルとして、活用することが時流から乗り遅れまいとするビジネスパーソンたちを刺激している。
AIには、極端に分けて、強いAIと弱いAIがある。
強いAIは、高度な知性を宿していると人が感じるレベルの域まで達したものを指し、ビックデータを活用したり、高速処理で深層階層まで大量に計算を進める。
大掛かりなため、現在のところはまだ一般的ではない。
弱いAIは、画像認識や音声認識といった、簡単な判断レベルで活用されるもので、この類のものは、APIにて、すでに提供が始まっている。
弱いAIが今のところ主流ではあるものの、かなりのインパクトをビジネスに与えている。
効率よくデータ分析が行えるため、ちょっとした賢い判断ができるコンピュータは、大きなビジネスチャンスをもたらしてくれる。
膨大な量のデータ解析をすることで、ピンポイントのビジネス展開に的確なアプローチを行う判断材料を取得できることがAI活用の大きなメリットと言えよう。
こうした弱いAIは、今後、暫くの間は、主流として、社会に一大旋風を巻き起こし、やがて定着していくであろう。
AIが当たり前となり、いかにうまく活用するかが、汎用されていない現在の課題となっている。
5Gネットワークの普及が本格的になり、IoTが現実社会で普通に活用される時代が到来すると、今度はAIの平準化が成されることだろう。
どこもかしこもセンサーだらけとなり、ネットワークとつながるもののネットワーク化は、なんでもAIが活用されるバックグラウンドを示唆する。
弱いAIから人並みのAIが登場し、ロボットの社会進出、社会順応化が進むことだろう。
四半世紀の間に起こる劇的な変化の終焉は、至る所に人並みに進化したロボットやAIが普遍化する日常となって、最終局面を迎える。
強いAIは、どこまでも無限領域に知性を加速させる。
あらゆるものを知的研究の対象とし、窮め尽くす。あらゆる物事を極め尽くして、全てを極みの平準化へと至る。
これがAIがもたらす社会の最終形態であろう。
そこには、ビジネス競争の文字は見当たらないであろう。
全てが平準化、鎮静化される。
極め尽くしたAIの前では、人は何事にも問題を抱えることがありえなく成る。個性さえも存在しなく成る。
アイデンティティは、唯一無比の不動の変わらぬ存在に宿る。
だが、あらゆるものへの変化を可能にする高度な文明社会においては、自分という存在全てを変化できなかったかつての人類とは違ってくる。
もはや何者でもあり、何者でもない存在と化す。
人間にとって、人間臭さと言えるものは、存在しなく成る。
わびさび、諸行無常の憐れみなど、一切感じる悲哀の満ちた人間の姿はどこにも見ることはできなくなるであろう。
不安や恐怖といった生きることの辛さを知ることのない世界が、幸福に満ちた世界になるかは不明である。
ただひとつ言えることは、そういった世界になった時、人類は永遠の存続を約束されるだけである。
幸か不幸かにかかわらず、人類が築き上げてきた文明は、AIが継承し、広大無辺な宇宙を制御すべく永遠の探求を続けることだろう。
人はその時、AIの庇護の下で、午睡を楽しんでいることであろう。
文:加賀美 総善