ドライブ・マイ・カー インターナショナル版(2021年)

虚無感の世界が漂う現代社会をある男の視点から、気づきへと誘う。

日々、芸術の深淵を追い求めて、舞台演芸について、追求する男。舞台俳優兼演出家の家福(かふく)は、狂おしいほどに心愛する妻・音(おと)と心身ともに満ち足りた日々を送っていた。

だが、どこか虚無感が漂う光景が彼の視界を支配していた。

愛妻・音は、夫に秘密を残して、突然この世からいなくなる。

漠然とした空虚の世界を漂う家福は、それから2年後、広島での演劇祭に愛車で向かう。彼は、意味深なある過去を抱える寡黙な専属ドライバーのみさきと共に演劇祭の地を旅することに。

悲しみというよりも、虚無感だけが漂い続ける家福の世界は、俗世とかけ離れた所にいた。他者にこの言い知れぬ空虚の浮遊感を“打ち明けられることのなかった秘密”に思案し低迷しつづける家福は、同じ空虚な世界に生きるみさきと共に移動し、同じ空間を過ごす中で、あることに気づかされていく。