クリスマス・ウォーズ(2021年)

初老を迎えたクリスと妻のルースは、一見するとごく普通の仲良し夫婦に見えた。

だが、実のところ、彼らは何百年もの間、雪深い大自然が広がるアラスカの森の奥深くに居住し、安穏とした日々の中、クリスマス時期に慌ただしく活動する普通ではない夫婦だった。クリスは、何を隠そうリアルサンタクロースなのだった。

だが、近頃は、彼のような純真無垢にサンタクロースを信じる子どもたちは少なくなってしまっていた。

サンタクロースが無償でプレゼントを施すのは、純真無垢な少年少女のみなのだ。ひねくれた小生意気な子供たちには、こぶし大の石炭一個しかプレゼントをしないという流儀でやっていた。

サンタクロースの不人気が結果として、存続意義を失わせ、国際社会のおいても世界中で国家予算から削減の憂き目を見ていた。クリスが住むアメリカ合衆国もその例外ではなかった。サンタクロースの存在を頑なに信じない子どもたちの増加に伴って、クリスらサンタクロースたちへの米国政府からの報酬は削減の一途をたどっていたのである。

赤字続きのおもちゃ製造工場も営むクリスは、苦渋の決断を強いられることになる。なんとこともあろうにアメリカ合衆国の陸軍から正式に軍隊用品の手製グッズ制作を依頼されることに。

クリスは、おもちゃ製造工場の従業員たちの生活を守るために、軍需品製造の仕事を不本意ながら受けることになる。

一方で、クリスマスの朝、欲しいものはすべて手に入れてきた大富豪の子息少年ビリーは、Xmasプレゼントへの期待に胸を膨らませ、早朝に目を覚ます。だが、彼に贈られたのは、ご多分に漏れず、ひとかけらの石炭だった。

ビリーは、やられたらやり返す倍返し恨み晴らし少年であった。

失望させたサンタクロースへの復習を誓うのであった。

ビリーは、お抱え暗殺者にサンタクロースの暗殺を依頼するのであった。

暗殺者は、サンタクロース暗殺に執念を燃やすのであった。